大坂なおみさんの快挙を「素直に喜んじゃいけない空気」にしたのは誰ですか?



浅田真央選手が引退してしまってからというもの、「真央ちゃん以上に好きになれるアスリートなんて出てくるはずないよ、気力の限界、体力の限界……」とウルフばりに推し心からの引退を決意した私の元に、その人は突然やってきたのでした。

大坂なおみ選手。名前だけ聞いたら、新世界あたりでゴリゴリの「浪花恋しぐれ」歌ってそうな大坂選手。名前はそうでもご本人にスポーツ的な浪花節は皆無で、試合中は全身バネのような鬼サーブを繰り出して相手を圧倒するのに、終われば何事もなかったように笑ってる。「コニチワ~」って笑ってる。スポーツファンが大好物な、苦闘の末の感動とか余韻とか、そういう空気を完全に無視する他人事感がもうね……好き……。真央ロスの心に舞い降りた、それはそれはテンション低めの天使。

全米オープン優勝を決めたけど……

 そんな大坂選手が、芸のためなら女房も泣かすどころか、日本中、いや世界中のテニスファン(と私)を泣かせたのは、先日行われた全米オープン決勝。試合はだいぶ大坂選手が押していて、ついにあのセリーナから第1セットを奪取。「もしかしたら勝てるかも……」と期待する私を「バカバカ! アンタそうやって調子こいた挙句5点差で勝ってたのに5点差で負けたりしてるでしょうが!!」とベイスターズファンの私が諌める、謎の脳内ラリーを繰り広げているうちに、マッチポイント。そしてついに大坂選手は自身初の四大大会シングルス制覇を果たしたのでした。

私にガッツポーズさせてくれなかったのは誰?

 こんなに嬉しいことないじゃないですか。大好きな大坂選手が、悲願の全米オープン優勝。しかも相手はなおみちゃんのアイドル、セリーナ・ウィリアムズ。憧れの存在を倒して女王となった自分の推し。 死ぬほど誇らしいはずなのに……私はその時全身全霊のガッツポーズを決められなかったのです。 私にガッツポーズさせてくれなかったのは誰? なおみから天真爛漫な笑顔を奪ったのは何? 大坂なおみ報道が落ち着いてきたところで、満を持してその恨みを勝手にここで晴らしたいと思います。

恨みを晴らす相手はまずおまえらだ!!

 まずおまえらだ!! 自称テニスファン!!

優勝の瞬間、ツイッターを覗くとなぜかため息混じりのテニスファンたち。喜ぶどころか、流れてくるのはこんなツイート 「ジャッジがね……」「勝ち方が良くないよ」「なおみがかわいそう」「いやセリーナがかわいそう」 etc.。いやいやいやいや、まず喜べ!! テニスで世界獲ることの厳しさをよく知ってるあなたたちがまず素直に「すげえええええ」って喜んでくれよ!! 知ってるだけに納得いかないことがたくさんあるんでしょうが、そのアピールは後でもいいじゃないですか。別にズルして優勝したわけじゃないのに、ジャッジよりセリーナより、 こうしたテニス通たちのポジショントークがあの歓喜にミソつけたみたいなとこ、少なからずあると思うんですよ。 「これは日頃からテニス観てる人間じゃないとわかんないよな」的な物言いが。頼む、ルールにのっとって勝ったんだから、まず喜んで!! あと「そもそも日本人初って、国枝選手を知らないのかな」みたいにドヤ顔で言うのも、後にして!!

次はおまえら!! 自称マイノリティ!!

「日本人初の四大大会制覇」という報道に対する「日本人初日本人初って、普段はハーフを差別するくせに」「日本はいつまで島国根性なんだよ」という批判。大坂なおみ選手は、日本人の母とハイチ系アメリカ人の父を持つ、いわゆるミックス。国籍はアメリカと日本を所有しているそうですが、テニスプレイヤーの国籍は日本を選択。そりゃ「日本人初」ってなりますよ、事実だし、キャッチーだし。 大坂なおみから「日本人初」を奪う権利、誰にもないと思うんですよ。 てか、そんなことより、おまえらなおみが仲間だと思うならまずは普通に喜べ!! もうめんどくせえから全選手「地球人」で登録して!!

次はだれだ!!

 ここまで読んで「そうだそうだ」と思ってるおまえらだ!! 自称フツーの日本人!! あとそれに噛み付く自称リベラル!!

優勝スピーチで「会場がセリーナを応援していたことを知っています。こんな終わり方になってしまったのは残念……でも決勝でセリーナとプレイするのが夢でした。プレイしてくれてありがとう。そして試合を見てくれてありがとう」と、大坂選手が会場やセリーナに感謝の意を述べたことに対しても「日本人として誇りに思う」「いや日本人とか関係ないし」という謎のイデオロギー論争に発展。やめろーーーーおまえらのくだらん主義思想合戦に私の愛しい推し利用すんじゃねえーーーーー!! 我々が今言えることはただ一つ、それは「なおみサイコー、マジ愛してる」ってことだけだ!!

何回抹茶アイスって言わせれば気がすむんだ!!

 はい乗ってきたよ、次!! テレビ!!

金のことばっか聞くんじゃねえ!! 何回抹茶アイスって言わせれば気がすむんだ!! あと北海道のじーちゃんの映像はもうお腹いっぱいだから!!

あと、もう、セリーナ!!

なおみと同じく、私もかっこいいあなたに憧れてます。「男子選手だったら(コーチングというジャッジは)取られなかったのではないか」というのも、もしかしたらそうなのかもしれない。テニスに限らず様々なスポーツに未だレイシズムやセクシュアリズムが純然と横たわっているのは、事実だから。だけどそうした見えない敵と長く戦ってきたセリーナだったら、なおさらあの日審判とではなく大坂選手と戦って欲しかった。日本とハイチ、そしてアメリカ、複数のスタンダートの中で生きてきた大坂選手と。もう色んなこと、うっせーバチコーンっつって、結局これだろバチコーンって、きっちりテニスで勝敗つけてほしかった。何も知らない外野の野暮な邪推なんてぐしゃっと叩き潰してほしかったんですよ。ラケットではなく。

「なおみ……えぐ!!!」

 最後におまえ!! 自分!!

日々流れてくるこうしたニュースにおける「この場合何を言うのが正解か」合戦に、一番巻き込まれてるのは他ならぬおまえだ!! そもそもこんなコラムを書いている時点で、この優勝に対する「正しい態度」を探してる。一生インターネットでブツブツ言ってろ!!  ごめんね、なおみちゃん。 でも本当に嬉しくて泣きました。

試合もすごかったけど、私が一番グッときたのは、絶賛されたあの優勝スピーチの最後、大坂選手がわざわざセリーナの方を向いて、頭ぺこってやったとき。 この異様な空気を作り出した最重要人物 を「あなたが大好きです」という瞳で見つめながら頭を下げる。あの時のセリーナのギョッとしたような、不意をつかれたような、すんごい強打の後しれっとネットすれすれに落としてきやがったコイツ的なあの表情。 あのシーンをテレビで見るにつけ「なおみ……えぐ!!!」と震えてしまいます。おそらく誰に何を言われるより、あれがキツかったはず。天真爛漫って、やっぱ凶器……そんななおみに、もうラブしかないです。



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