小野伸二と稲本潤一が語る黄金世代。「同級生の一番に」「すげえな、と」



ハーフコートで試合形式の練習が行われていたが、時折、2人のベテランプレーヤーのトラップや動きに目を奪われた。小野伸二と稲本潤一だ。

小野の「それを見るためにお金を払う価値がある」(byカメラマン近藤篤氏)トラップに思わずため息が漏れ、稲本のチーム全体にスイッチを入れるようなドリブルでの持ち上がりを見ると2002年の記憶が蘇ってきた。

チャンピオンズリーグを知らずに海外移籍。

 2人には発売中のNumber961号の取材で「海外クラブへの挑戦の意味」について話を聞いた。移籍決断の背景や現地で言葉の壁をどう乗り越えたのか、そしてジダンやアンリら実際に対戦したレジェンドたちの巧さなどについて楽しそうに語ってくれた。

話の中で意外だったのは、2人が小さい頃から海外でのプレーに憧れたり、強く意識することはなく、ほとんど知識もないまま(チャンピオンズリーグさえ知らなかったとか! )オランダのフェイエノールトとイングランドのアーセナルに移籍したということ。

「当時は今みたいにスカパーやダゾーンがなくて、携帯もガラケーやし」(稲本)

海外リーグの情報や試合動画が溢れている2018年現在とは、まったく違う環境で彼らはヨーロッパへの移籍を決断していったのだ。

黄金世代の仲間たちへの意識は?

 そして興味深かったのが、2人の「同世代」への意識がまったく違うということだ。

言うまでもなく、小野と稲本は「79年組」や「黄金世代」と言われ、U-20ワールドカップで準優勝を果たした1979年生まれの世代だ。

他の同級生には、高原直泰、遠藤保仁、小笠原満男、本山雅志、中田浩二、曽ケ端準、播戸竜二らがおり、中田英寿の3つ下、中村俊輔の1つ下になる。

小野は、強烈に同級生を意識していた。同じMFで代表ではポジションを争った中田や中村にはライバル心を感じず、同級生こそがライバルだという。

小野「同級生の中での『一番』は譲れない」

 インタビュアーの近藤さんが、中田英寿ペルージャに移籍した直後、ユベントス戦で2ゴールを決めたのをテレビで観戦していたという小野に「あれを見て、嫉妬とか、悔しいとか、そういう感情になったりしないの?」と聞いたとき、こんな答えが返ってきた。

「別にライバルだとか、そういう気持ちでもないから。やっぱりヒデさんはヒデさんだし。ライバルって思えるのは自分の同級生だけで、上や下の世代の人たちに対して、そういう気持ちはなかったです。もちろん比較はされましたし、それを耳にしたりもしたけど、別に自分の中で何も……。

やっぱりライバルは自分の中で同期なんです。タカ、イナ、ミツオにヤット、中田浩二もそう。タカは小学校から知ってて一緒だったから、特にライバル意識ありましたね。ほんと僕らの世代すごかったから(笑)、その誰かと比較されて負けたと思われるのは嫌でした。同級生の中での『一番』は譲れない、これは今でもそうなんです」

対する稲本は、冷静だ。

「同級生がライバル? うーん、まぁまぁありますけど、シンジほど絶対的な強い思いはないですね。もちろん同い年のやつが頑張っていると刺激にはなりますけどね。だからシンジがフェイエノールトでUEFAカップを優勝したのを知ったときも、すげえな、と思ったくらいで、悔しいとかそういうのはなかったんです。

それよりもクラブや代表で自分と同じポジションで、おれの代わりに試合に出てる選手に勝ちたい、そいつに勝ってどうやって試合に出るか、という意識のほうが強かったですね。それは今も同じなんです」



なぜあんなにうまい選手が揃ったのか。

 同級生へ熱い思いを抱く小野に、近藤さんが素朴な問いを投げかけた。

――あの年ってなんであんなにうまい子がいっぱいいるの? サッカーのうまい選手が多いよね、身体能力が優れているとかじゃなくて。

「何なんですかね。分からないな、そう聞かれても何とも言いようがない。ただ、僕の世代と僕の1個上の世代って、海外への遠征や合宿にどの世代よりも行かせてもらったと思うんです。そこでそれぞれが何かを学んだんじゃないですか。

今の若い選手たちは、僕らの世代よりも1人1人の技術はすごい上がってると思います。うまい。ただ、サッカーを「考える」ということに関しては何とも言えません。’79年の選手たちは技術もそうですが、みんな、考える力も相当高いレベルだった。

お互いをどう生かすか、どうやったらゴールを取れるか。そういうことを僕らはパッと瞬間的に共有できていました。それが強みだったし、海外のクラブでもそれは役に立ったと思います。今の若い選手たちは技術に重点を置きすぎているのかもしれませんね」

稲本「海外、むしろなんで行かへんの?」

 稲本は、自分自身の経験を踏まえ、若手にもどんどん海外挑戦をしてほしいという。

「自分は海外での9年間で、サッカー選手としてはもちろん成長できたし、それ以外の部分でも色々と学べましたよね。イギリス、トルコ、ドイツ、フランスと4カ国に行ったのかな。文化、宗教、知らなかったことを理解したし、人との出会いもたくさんあった。単純ですけど、やっぱ世界は広いなって思いますよ。

今の若い人ですか? そりゃ、行くべきでしょう、海外。むしろなんで行かへんの? って感じかな。ベルギーでも、スウェーデンでも、向こうに行ったら自分を見てくれてるスカウトの目の数が全然違って、いいやつは間違いなく上に上がって行きます。

今は昔と違ってA代表を経験する前に、下手したら高校生でも海外に出ていけるわけですよね。それなら、もしタイミングが合えば、日本の外に出て行って欲しい、と僕は思います」

サッカーにおける考える力とは何か、それはどう身につくのか――。この20年、日本のサッカー界を牽引してきた2人の言葉は、海外に挑戦している選手を見る上でも、新生・日本代表を見ていく上でも示唆に溢れていた。



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