12平均律とエディーチューニング
これは確か20代中盤ごろ、某音楽学校に通ってた時の話です。
音階については純正律とか平均律とか聞いた事はありましたが、実際に周波数を計算してみようと考えました。
純正律に関してはいろいろありすぎて、歴史的にも複雑なので、現状一般的に採用されている平均律を計算してみました。
ルールは以下の3つです。
- 440HzをA(ラ)とする。
- オクターブの関係を周波数比1:2とする。
- 任意の音と、その隣り合う音の周波数比を全て同じにする
これで計算できるはずです。
まず基準となるAの音、つまりラの音が440Hz(A4)で、その1オクターブ上が880Hz(A5)、1オクターブ下が220Hz(A3)というのはすぐにわかります。
AとA#の比は
1 : x
とします。
隣り合う音は全てその比で表せるため、
A#とBも
1 : x
です。
という事は、
A : Bは、1 : xの2乗で表せます。
同様にすれば、A : 1オクターブ上のAは、
1 : xの12乗
で表せます。
そしてそれが1 : 2になるので、
1 : xの12乗 = 1 : 2
の等式が成り立ちます。
つまりxの12乗 = 2で、x = 2の12乗根です。
当たり前の事を長々と書きましたが、2の12乗根がわかれば、それに440を掛ければA#、さらにA#に2の12乗根を掛ければBというふうに全ての音の周波数が求められます。
こうして以下のように全ての周波数が求められました。
…
G#: 415.304697…
A4: 440
A#: 466.163761…
B : 493.883301…
C : 523.251130…
C#: 554.365261…
D : 587.329535…
D#: 622.253967…
E : 659.255113…
F : 698.456462…
F#: 739.988845…
G : 783.990871…
G#: 830.609395…
A5: 880
A#: 932.327523…
…
ここでオクターブはきっちり1:2で計算してますので、Aと1オクターブ上のAは当然1:2になってます。
もちろんG#と1オクターブ上G#も、A#と1オクターブ上のA#も1:2になってます。
そこは当たり前。
では完全5度の音程はどうでしょうか?
純正律では2:3の関係になっている必要があります。
A : Eで見てみると、
440 x 3/2 = 660ですが、Eは659.255113…となり、わずかに低い事がわかります。
つまり平均律の完全5度は、純正律の完全5度に比べてわずかにインターバルが狭く、その裏側である完全4度(E:A5)はわずかに広くなります。
長3度はどうでしょうか?
純正律では4:5の比率になります。
A4とC#を比べてみましょう。
440 x 5/4 = 550
ですが、平均律のC#の周波数はそれよりかなり大きいです。
同様に短3度では、純正律では5:6になりますが、
440 x 6/5 = 528
となり、平均律のCはそれよりかなり周波数が小さいです。
このように3度のインターバルは平均率では純正律からかなり離れています。
ピアノは調律をそれほど頻繁に変える事ができない楽器ですので、このズレはもはや諦めるしかありません。
ギターでは、指の抑える力加減によって、少しその差を解消する事も可能です。
あるいはEdward Van Halenなんかは、ギターのチューニングを曲によっては2限と3限の長3度のインターバルを、純正律にしていたりしますね。
具体的には3限を少し高くチューニングする事で、2限との間の長3度のインターバルを少し狭く、純正律に近づけます。
その後3限を上げたので、辻褄を合わせるべく、4限-6限も少しずつ上げます。
その分1限と6限のインターバルが2オクターブより狭くなるのですが、そこを同時に鳴らさなければ問題ありません。
これによって5限ルートのメジャーコード(2-4限をセーハするコード)を押さえた際には非常にストレートな響きが得られたりします。
参考曲: Runnin’ With the Devil
音楽をされてる方は、いろいろテストしながら最も気持ちの良いチューニングを探るのも楽しい試みかもしれません。
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