陸上競技ハードルのルールの公平性について
つい最近、Twitter(X)で次のような問題提起をしてみました。
「ハードルは一つ倒すごとに0.2秒とかペナルティを付けるべき。
全くノーミスでクリアした人とタイムだけで競わされるのは不公平に思える。」
これはちょうど少し前に友人と議論したところで、ハードルの動画が回ってきたのでいい機会だからいろんな人の意見が聞きたかったのです。
大きく分けて3つの意見が集まりました。
(もっと炎上するかな?と思ったのですが、それほどでもなく、力不足を感じます)
- ハードルは倒すことによってタイムが遅れるために、既にペナルティを払っている
- 現行のルールを利用して、抜き足であえて倒す事で最速を出そうとする選手もおり、それも技術の一部
- そんなことをすれば勝敗がわかりにくくなり、競技が面白く無くなる。
1と2は互いに矛盾しているので、個人的には3が一番納得のいく反論でした。
ハードル競技の歴史を少し調べてみると、昔はハードルというのは、⊥型をしていたようです。
これは現行のL型に比べて倒れにくく、怪我のリスクが高かったわけです。
スポーツで怪我をしていては本末転倒なので現行のL型に改訂されたわけですが、それによってハードルを倒す事に対する心理的ハードルが下がり、もはや最悪倒してしまってでもいいからギリギリを狙う事こそが競技の本質になり、「飛び越える」という意識が以前より小さくなった事は間違いないでしょう。
タイムも以前の⊥型のハードルの時ほど、倒しても損失はなくなりました。
自然界における障害物はもちろんそんなに簡単に倒れてはくれるはずもなく、ぶつかれば怪我は免れないでしょうから、障害物競走としての意義が見失われてしまっているように感じるのです。
もちろんそういう競技だから仕方ない、と言われてしまえばそれまでですが。
この議論において欠かせない人物は、アレン・ジョンソンです。
彼は10個のハードルを薙ぎ倒し、金メダルを獲得した事で有名ですが、彼自身、抜き足でハードルをわざと倒しており、自分は最善の倒し方を心得ているとも豪語しています。
(ちなみにリード脚で倒した場合、つま先がハードルの上部のラインより下を通過すると失格です)
もし彼が日本人だったらルール改定があったのでは?と、可能性の話で恐縮ですが、思わずにはいられません。
水泳の青山綾里選手の時のように。
それまでは水泳は速い事が全てだったわけですが、彼女の潜水泳法に勝てる選手がおらず、潜水の15m規定が作られました。
これも賛否が分かれるところですが、バタフライという種目の意義に合わせた形での改定と言えるので、障害走の意義を考えれば、倒すと即失格とまではいかなくとも、ある程度のペナルティは容認されたかもしれません。
(自由形でも潜水は15m以内と規定されています)
最後に、泳法の歴史と未来について語っているTikTok動画を紹介します。
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